箱を分けると、心が分かれない ─ 複数ポートフォリオ入門

長期のつもりのBTCと、試しに買った小さな銘柄が同じ画面で上下している——合計は正しいのに、なぜか心がざわつく。原因は資産ではなく「混ざっていること」かもしれません。Crypto Portfolioの複数ポートフォリオは、その混線をほどく機能です。

目次

作る・切り替える・名前を変える

設定→ポートフォリオで新しい箱を作成。名前は「長期」「実験」「積立」など自由です。ホーム上部のポートフォリオ名から切り替えられ、改名もいつでも。箱ごとに銘柄も数量も独立しているので、同じ銘柄を別の箱で別の数量で持つこともできます。

分けるかどうかの3つの質問

①その銘柄が下がったとき、主力と同じ物差しで見たいか。②その買い方(積立・スポット)をあとで単体で振り返りたいか。③その一群を誰かに見せる可能性があるか——ひとつでも「はい」なら、分ける価値があります。ぜんぶ「いいえ」なら、1箱のシンプルさが正解。分けること自体が目的にならないように。

定番レシピ3つ

長期と実験: 主力は「長期」、少額の試し買いは「実験」へ。実験箱の乱高下に主力の景色が乱されず、実験の成績も混じり気なく見えます。
積立の記録箱: 毎月の積立だけの箱を作ると、チャートに「継続の階段」が素直に刻まれます。
視点の分担: 同じ構成でも円建てとBTC建てでは物語が違う——ウィジェットの通貨固定と組み合わせれば、視点の違う窓をホームに並べられます。

ウィジェットは固定、Watchは追随

ホーム画面のウィジェットは長押し編集で箱を固定できます(Xシェア起動を除く)。一方Apple WatchはiPhoneで選択中の箱に追随。「左のウィジェットは長期、右は実験、手首はいま選んでいる箱」——固定と追随の使い分けで、確認の動線が完成します。

ウォッチリスト — 保有ゼロの観察席

「買ってはいない。でも気になる」。その銘柄は数量を入れずにウォッチリストへ。価格と24時間の変化を一覧で見守れて、評価額の計算には一切混ざりません。数日おきに銘柄詳細を覗けば、値動きの性格だけが感情ぬきで溜まっていく——買うと決めた日に数量を入れれば、その瞬間から本棚入りです。専用のカードテンプレートもあり、保有情報を含まないので注目リストの共有にも気兼ねがありません。

「どこに置いてあるか」まで — ノートPro

数量は分かる。ではどこにあるか——取引所A、ハードウェアウォレット、ステーキング先。買い切りアドオンのノートProは、銘柄ごとの保管場所を配分で記録できます。「BTCは6割をコールドに、4割を取引所に」——その台帳がアプリの中に。もちろんこの記録も端末とあなたのiCloudの中だけで、住所や秘密鍵を書く欄はそもそもありません。

箱ごとに、画面の表情が変わる

ホームの総額・チャート・期間統計は、いま選んでいる箱のもの。切り替えるたびに画面全体がその箱の物語に着替わります。実験箱のギザギザと、長期箱のなだらかさ——同じアプリの中に性格の違う2つの画面を持つ感覚は、使ってみるとかなり癖になります。

片づけも、箱単位で安全に

役目を終えた箱は、設定の「データをリセット…」で表示中のポートフォリオだけを選んで削除できます。端末全体やiCloud同期分まで消す選択肢とは明確に分かれているので、「実験箱だけ畳む」が事故なくできます(全体像はデータの居場所の記事へ)。

箱の名づけ学

名前は「何を入れるか」より「なぜ持つか」で付けると強くなります。「アルト」より「実験」、「BTC」より「動かさない」。目的が名前になっていると、切り替えた瞬間に見るべき物差しも切り替わる——実験箱の下落は学習費、長期箱の下落は静観、と反応まで名前が教えてくれます。改名はいつでもできるので、育ちに合わせて呼び名も更新を。

複数ポートフォリオのQ&A

Q. いくつまで作れますか — 必要なだけどうぞ。実感として管理しやすいのは2〜4箱です。

Q. 箱をまたいだ合計は? — 表示は箱ごとに独立です。全体をひと目で見たい方は「全部入り」の箱をひとつ持つ運用が最短です。

Q. 同じ銘柄を複数の箱に? — 問題ありません。数量も箱ごとに独立管理です。

月初の箱めぐり

月が変わったら、箱をひとつずつ切り替えて1分ずつ眺める「箱めぐり」を。長期箱は2年チャートで傾きだけ、実験箱は1ヶ月で顔ぶれを、積立箱は階段の段差を確認——3箱でも5分の儀式です。ついでに各箱の構成カードを1枚ずつ焼けば、月次のアルバムが箱の数だけ育ちます。

実験箱の卒業式

実験銘柄が信頼に変わったら、昇格の日です。手順は2つ——長期箱にその銘柄を数量つきで追加し、実験箱から削除する。1分の作業ですが、「これは実験ではなくなった」と自分に宣言する効果は想像より大きい。逆に、期待が外れた銘柄を実験箱ごと畳むのも立派な卒業です。箱は、判断を形にする道具でもあります。

今日の宿題: 箱を2つに

設定→ポートフォリオ→新規作成→「実験」。試し買いの銘柄を移して、ホームで切り替えてみる——5分です。分けた瞬間から、それぞれの箱が自分の言葉で語り始めます。合計だけを見ていた昨日より、資産との対話は確実に具体的になります。


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